第一章

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  ─そのクリスマスイブの日も、私はバイトだった。 彼氏もいなかったし、遊ぶより働いている方が気楽だったから。 夜の8時頃、いつものように繁華街を歩いて帰っていた私は、おもちゃ屋の前でショーケースを眺めている1人の子供を見つけた。 その子の姿はお世辞にも綺麗とは言えなかったけど、着飾られたおもちゃ達を見ているその目はとても輝いていて… なんか…ほっとけないような気がした。 それとも、その目に惹き付けられた…って言うのかな。 「ねぇ、あなたどこの子?」 私がそう言うと、その子は何も言わずにこっと笑った。 ─とりあえず、連れて帰ろう。 何故かその時の私の脳には真っ先にその考えが浮かんできた。 今考えてみるとどうしてそんなことを思ったのか… でも、その時はこの子を連れて帰らなくちゃいけない、とそれだけでいっぱいだった。  
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