何事にも在るもの。

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辺鄙な土地で育った青年は、幾度も村の外れから、地平線に消える光を見つめていた。 もちろん、村に学校はあった。だから、その光が、地平線に消える理由も分かっていた。 光の番人が休み、闇の番人との交代のために。徐々に光を落とし、闇と静かに入れ替わる為。 それでも、青年は幾度も、幾度も、地平線を眺めていた。 そして、ある時。 ほんの気まぐれなのか、村に、あり得ない客人がきた。 正確には、死を目前にした人間だった。 穏やかな老人を見つけたのは、いつものように、地平線を見に行った青年だった。
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