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柔らかく闇を舞う風を感じながら、人は風に消えるのかと、オルは立ち尽くしていた。
「消えるのか・・・。」
金貨を握りしめたオルは、何かに取りつかれたように言葉を繰り返し、ふらふらと帰路についた。
夜、ベッドに潜り込んで金貨を改めてみる。
物々交換の村には通貨がない。
オルはそれが、金貨である事をしらない。
ただ、鈍く光るそれは、心地よい重さと、手触り。
「なんだろう。」
金貨を眺めるオルの部屋からは、金貨のような満月が見えていた。
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