星降る夜

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二十世紀を過ぎてからの科学技術の進歩は異常ともいえるもので、その中でも宇宙分野のそれは著しいものだった。 巨大隕石落下の軌道予測なんてもはや朝飯前、外しはしない。オマケにこの隕石の規模だと地球はひとたまりもないらしい。 隕石の接近が公式発表されてからの三ヶ月はまるで数十年を圧縮したようだった。 世界中の人々が立ち上がり、超大規模な宇宙への移住計画がたつのに一週間。開発に二月、各国では食料確保のために民間で衝突が起こり半ば内戦状態、国連では移民編成の際に先進国民の移住を優先させることを決定し大きな論争を生んだ。  そしてこの移住計画の破綻が発表されたのが一週間前。三ヶ月で人を宇宙(そら)へ逃がそうなんて土台無理な話しだったんだ。 人々は途方にくれた。もはや生きる気力も湧かない。あとはもう、死を待つしかないのだから… だから、道には車一台通らない。街は明かりひとつないし街灯だってつかない。 文字通り、世界は終わりを向かえつつあった。 ああ、だからか。いつもより“空”が明るく見えるのは、高く、澄んで見えるのは。 周りに明かりがないから………
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