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「何だお前たちは!?」
言いながら、男たちは剣を抜く。
入って来たのは十五人。そのうち一人は女のようである。
「うるせぇ!!夕霞里の仇、ここでとらせてもらうぜ!!」
二人の男がとびかかった。しかし一人の大振りは軽くかわされ、もう一人は組み合うことすら出来ずに斬られた。
「素人?ただの村人か??」
実力を持った男たちの姿に、残りの者は後ずさりをはじめる。
「はいはい、いいよ。あんたたちは後方支援。」
女が一歩進み出た。手足はスラッと長く、鎖骨まである美しい茶髪が揺れる。
「女…??」
男たちは戸惑いながらも剣を構える。
女もスラリと剣を抜いた。
「女だからって油断しないでよ!!」
言って走り出した女はあっという間に一人の男の懐に入り、腹を貫いた。続いて横に跳びながら一人を裂き、もう一人を横薙に払う。
その間、わずか五秒。誰も動けなかった。
「珀磨!」
黒服の男の一人が小さく呼んだ。
「早くここから逃げろ!!出来るな?このことを迦月先生に!この女、危険だ!!」
珀磨は力強く頷くと窓を突き破って部屋を出た。
状況が理解できず、何事かと立ち止まる人々の間を縫って珀磨は走った。
「追って!!」
援軍を呼ばれては厄介だ。そんな考えが横切り、女は後ろの村人たちに命じる。
村人たちも、目の前の女や黒い男たちの実力を目にして少年を追う方が分がいいと思ったのか、何度も頷いて部屋を出ていった。
彼らの情けない態度に女は深くため息をつく。
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