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「貴方は、力を欲し過ぎです。」
「力?」
「はい。世界を救うのは、貴方ではありません。そこに棲む者達です。」
ルドルフは、おじいさんの事を『貴方』と呼びました。
それが何故なのかは、分かりません。
おじいさんは、目に見えて分かる程に狼狽えました。まさか、こんな事を言われるとは思っていなかったのでしょう。
「馬鹿だな。私は、そんなに大それた事を望んでいないよ。」
そう言って、ルドルフの鼻の辺りを撫でました。
優しく、優しく。
ルドルフは気持ち良さげに、目を瞑り、鼻を突き出します。
それに応えて、おじいさんは優しく優しく、撫で続けてやるのでした。
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