一服の時

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茶室にて しゅんしゅん・・・湯の沸く音が静かな茶室に響く。 「いい音だね。とても心安らぐよ。」 本当は君といるから、なんて言えない。 「そうか。」 普段より幾分優しげな顔で相槌をうつ。 そんな横顔がとても好きだ。 「我は・・・おぬしとおると心穏やかになる。」 「え?」 思わぬ言葉に胸がときん、と音をたてる。 そんな淡い期待なんて、後で自分が苦しくなるだけなのに・・・。 そうだとわかっていても期待せずにはいられない。 人の心のなんと憎いことか。
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