The second name

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「ま、こいつ等を始末した後で、だな」  言って男性は吊された三人を見た。 「始末……?」  口をついて出た俺の言葉に、男は軽い調子で腰の後ろに吊していた剣を抜いて答えた。 「始末は始末だろ? 生かしておいちゃ、俺等のアジトがばれちまうからな」 「――――!」 「リリシアっ?」  リリシアが抱いて、口を押さえていた俺の手を振りほどき 「殺してはなりません!」 「リ、リリシア……っ」  俺達が殺されるかもって時に、何を……。 「おぉ? なんだ、嬢ちゃん。まるで教会のシスターみたいなこと言って」 「命は均等なものであり、誰かが誰かの命を奪うのは……!」  リリシアの言葉に、男は頬を引きつらせた。  やばい! 「リリシア!」 慌ててリリシアの手を引いて自分の後ろに庇う。 「おま――」 「待ってくれ、違うんだ! 妹は、その……あ、甘やかしたせいか世間に疎くて」 「兄様っ? 別に私疎くな――んっ」  慌てて口を塞ぐ。  黙ってなさいっ。 「べ、別に悪気はないんだ。気に障ったんなら謝るから、その……」  そこまで言うと網の中の男が 「おい、野党。庇い立てしていいのか? そいつは私達の国、イマァス王家の子――エディシアル次期国王だぞ」 「なにっ?」  こいつ……余計なことを。
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