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ちょうど、今みたいな寒い季節。
大切な人との別れ…。
もう恋なんてしないと思っていた。
あなたと逢うまでは―――。
11月もそろそろ終わる。
見上げた空はどこまでも青くて、吐く息も白い。
(今年は…雪降るかなぁ?)
そんなことを考えながら、七海 雫[ナナミ シズク]は学校へ続くイチョウ並木を歩いていた。
雫はこの道を気に入っている。朝露[アサツユ]に光るイチョウの黄色が好き。
「ねぇ!昨日のドラマみた!?」
バタバタと近づいて来たのは、藤野 彩[フジノ アヤ]。中学からの親友だ。
「ねえねえ!雫ってば!聞いてるの?」
「聞いてるよぅ、とりあえず落ち着こうよ。ね?」
「でも!カッコイイの!ユッキーが」
雫の言葉を遮[サエギ]って話を進める。興奮状態の彩をなだめるのは、毎度のことながら大変なことだ。
「で、そのユッキーとは誰??」
「えー!?雫はユッキー知らないの!?」
雫の質問に、彩が大袈裟[オオゲサ]な声をあげる。
周りの通行人たちがうるさそうな視線を向けた。
彩はちょっとバツの悪そうな表情をしてから、説明を始めた。
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