2話 雪

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慎也と知り合ってから、1週間が過ぎた頃。 突然の訪問にも慣れてきた。   「今日も来てるねっ慎也さん!」   学年が2つ上なこともあり、彩は敬語だ。   「うん」   冴えない雫の返事に彩が首をかしげる。   「嬉しくないの?」   「嬉しくないわけじゃないけど…」   「じゃあ、どうして?」   「ん…なんていうか…」   とてもはぎれが悪い。 机が前後の二人だったから、彩は椅子ごと後ろを向いている。   「まさか…鷹くんのこと考えてるんじゃ?」   「…違う、とも言えない」   雫は悩んでいた。 慎也と出会ってから、確かに惹かれていくのを感じる。 だけど…。 容姿がそっくりすぎて、なんだか擬似恋愛をしているような間隔になるのだ。   (なんでそっくりなんだろ…それじゃなかったら…)   最近、常に思うのはそればかり。 慎也が嫌いなわけじゃない。むしろ好き…だと思う。   「雫、慎也さんは鷹くんとは関係なかったんでしょ?性格も全然違うし」   「うん」   「迷うことないと思うけどな…ね!付き合う気はないの?」
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