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慎也と知り合ってから、1週間が過ぎた頃。
突然の訪問にも慣れてきた。
「今日も来てるねっ慎也さん!」
学年が2つ上なこともあり、彩は敬語だ。
「うん」
冴えない雫の返事に彩が首をかしげる。
「嬉しくないの?」
「嬉しくないわけじゃないけど…」
「じゃあ、どうして?」
「ん…なんていうか…」
とてもはぎれが悪い。
机が前後の二人だったから、彩は椅子ごと後ろを向いている。
「まさか…鷹くんのこと考えてるんじゃ?」
「…違う、とも言えない」
雫は悩んでいた。
慎也と出会ってから、確かに惹かれていくのを感じる。
だけど…。
容姿がそっくりすぎて、なんだか擬似恋愛をしているような間隔になるのだ。
(なんでそっくりなんだろ…それじゃなかったら…)
最近、常に思うのはそればかり。
慎也が嫌いなわけじゃない。むしろ好き…だと思う。
「雫、慎也さんは鷹くんとは関係なかったんでしょ?性格も全然違うし」
「うん」
「迷うことないと思うけどな…ね!付き合う気はないの?」
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