阿慰弗の病み

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私は拾われた     あなたの哀しみを拭う為に          私は救われた     あなたの欲望の為に  私は抱きしめられた  あなたの孤独を埋める為に          時の流れに私への思いも今はヘドロに混ざり消えた          幻聴は静かに     幻覚は霞み       雨で冷えてく感覚は薄れ  今は       意識だけがはっきりと過去を思考する     どこで生まれ母は父はと思考する       野性の遺伝子は眠ったまま気付かず      この街に馴染めず   死に場所も選べず   ナビには写らない私の依場所         見当たらない     無意識に嗅覚だけがあなたを捜す       見つからない     遠退く意識の中    私がフワッと浮いた   懐かしい感触    「暖かい」      意識が亡くなった。
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