古書堂のサンタクロース

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「だぁーれぇーが被せたんや!!    取りたくても腕届かへんねん!!」 「ちょっと奈桜!!バランス崩れる!         ちゃんと持ってよ!!」 「腕短いっつーか頭デケェんだろ!? この二等身!!」 「二等身ちゃうわ!!ワシャ八頭身や!!」 確実に八頭身なワケはないし、ウサギが八頭身だったら気持ち悪くてしかたない。 「いいッッ加減にしてよ!!伊藤さんも頭デカイくせに脳みそ少なすぎ!!」 「し、翔はんまで!!つか、ワシの頭の中身見たわけでもないのにエェ加減な事言うなッ!!」 「翔にはわかる!!アンタの頭の中身なんて、スーパーボールが一個転がってるようなもんだ!!」 …………バウンドしまくって大変そうだ。 「とにかくちゃんと持って!!手が痛い!滑って落ちそう!」 「あんさんがチビやで悪い!」 「あぁもう!手も届かない奴が騒ぐなッ……」 顔を真っ赤に染めて気張る翔哉に、伊藤さんの罵声がパソコンの箱の下から飛んでくる。 そんな伊藤さんに奈桜が改めて蹴りを入れようと姿勢を変えた時…… 不意に腕にかかる重量感が増し、その勢いは落下に変わる。 「わッ!」 「あッ!?」 翔哉の手が、箱のフチから滑って離れた。 支えを片側失った箱は、もう片側を奈桜が支えるも重力にしたがい地面を目指し………             ボゴ。 「むごわッッ!!」 ………途中で………落下をやめた。 片側には奈桜が腕を添え。     翔哉が持っていた側には…… 「い……伊藤さん……」 「大丈夫か……?」 ウサギが……箱の下敷きになり潰れていた。 ########## 最高級ラビットファーのクッション材により難を逃れたパソコンは、無事に15階の踊り場へと運び込まれた。 待ち構えて凍えたバクとティナが、先に非常階段の扉を開けて待っている。
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