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「おつかれさん~~~☆なんか騒々しかったがね。」
「い……いろいろあってね……」
「オツムじんじんするわ……」
「…………雪で冷やすか?」
にこやかに話し掛けるバクとは反面、三人は揃って階段にのびている。
鉄製の無骨な階段が、ひんやりと気持ちいい……
目の前には、申し訳なさそうに眉を下げたティナが居心地悪そうに袋を抱いて佇んでいた。
「ごめんね、ごめんね?ありがとう。」
「あ……あやまるか礼を言うかどちらかに……。」
ヘコヘコ頭を下げるティナに、翔哉は疲弊した体をずるりと起こすと……彼の腕に抱えられた袋に目を止めた。
まさしく四次元ナントカな袋は、普段はペッタンコ。
「ねぇティナ……」
「はい?」
翔哉は、頭にもたげる疑問にゆっくりと顔をしかめていった。
「なにも、「階段下」でプレゼント引っ張り出す必要なくない……?」
冷たい風が、熱をもった体を撫でる。
15階までたどり着き……それから袋からプレゼントを取り出せば……なにも重たいパソコン抱えて昇る必要は……
ティナは「あ。」と小さく声をあげると、翔哉の意見に呆然とする皆をぐるりと見渡した。
「………出したモノも……もう一回袋にしまえるんだった………」
エヘヘ。
「………………………。」
つまり。
重たい思いをしなくても、袋に一旦戻せば布きれ一枚持ち運ぶだけで済んだワケで。
「ティぃナァァァァ!!!」
「アホやろ!このへたれサンタクロース!」
「わぁぁぁ!!ごめんなさいホントごめんなさいぃぃいい!!」
そろそろ白みがかる冬の空。
澄んだ空気に浮かび上がる星空の下………
サンタの悲鳴が響き渡る。
メリークリスマス
聖なる夜は、明けていく……
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