誠治郎のプレゼント

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         ★★★★★ 「クリスマスプレゼントぉ?」 「はい☆」 いい加減ちゃぶ台の上に並ぶ料理も片付いた頃。 霧生から、三人に小さな包みがプレゼントされた。 透明なビニールに包まれたのは、かわいらしい形をしたクッキー達。 「やた――――☆クッキーだぁ☆」 「気の利いたことするやないか、誠治郎はん。」 「………………。」 翔哉と伊藤さんはさっそく包みを開け、奈桜だけは渋い顔で袋を睨み付けている。 甘いものは苦手という彼だが…… 「なんや奈桜はん、せっかくのクッキーぐらい食わへんか。」 「いや、なんか……」 何か違う感覚に、背筋がザワリと逆毛立つ。 そんな奈桜の目の前で、伊藤さんは無防備に口の中へとハート型のクッキーをほうり込んだ。 袋の中には計六枚のクッキー達。 さらに隣では、翔哉もまた笑顔でクッキーを頬張り…… 「おいひーい☆」 サコサコと軽快な音と共に頬を膨らませた。 その姿に、奈桜が警戒心を解きクッキーの包みを開けようとした時…… 「ぶにょげはぁぁあ!!」 「!!」 「いと……え!?」 伊藤さんが、突然奇声を発して畳みにぶっ倒れた。 驚愕する奈桜と翔哉。 霧生だけが……にやっと笑う。 「伊藤さん、ど……どうし……ッ」 「にっっっがぁぁぁぁい!!辛い!!わけわからへん!!あたたたたたた!ベロが痛い!!」 悶え苦しむ伊藤さんを抱え起こし、翔哉がオロオロと冷や汗を吹き出す。 傍らに転げた五枚のクッキー。 奈桜が感じた「嫌な予感。」 「霧生……」 「ふふふふ……」 伊藤さんと翔哉を背後に庇い、奈桜は店主を睨み付ける。 クリスマスムード一変、緊迫した古書堂の空気。 雪までは降らないものの、ヒヤリと冷たい冷気が扉の隙間から滑り込む中…… 霧生は、腕を組み胸をはる。
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