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「相変わらず騒々しいやつだな」
要の部屋を出ていく前、そう要が呟いたのは、聞かなかったことにしておこう。
「…………困った」
勢いづいて家に帰ったのはいいものの。私の目の前には大量の教科書、プリント、参考書の山がある。一応言っておくとそれは全部白紙で、どれに手をつければいいかわからない。
「えーとまず数学……」
あれもわからない、これも、それも。
わからない、だけで一ページ終わってしまった。
なんかもういっそ清々しいくらいわからないな。泣けてくるよ。授業も聞いてないやつが、いきなり問題を解けるはずがない。
次に授業のノートを振り返る。
「うわ、なにこれ、ミミズか!?」
私のノートには、ミミズやらミジンコみたいな最早文字じゃない羅列。
多分、眠さが極限に達してこういう字になったんだろう。
だったらもういっそ書かないほうがいいだろう、絶対。
「うがぁ!」
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