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私と悠太は公園の芝生に寝転がっていた。
流れていく雲をボンヤリと見ていた。
「あ、悠太。あれは魚じゃない?」
「ん?ん~、あ、あれか。おぉ魚だ。じゃあ魚の下のは犬の顔だ。」
「ああ(笑)。本当。」
子供の頃は、よく空を見ながら雲が何に見えるか、考えていた。
こんなコトをするのは久しぶり…。
悠太と一緒にいると、素直な子供に戻った気分になった。
意地をはらなくても、ありのままの自分を受け入れてくれる安心感…。
「悠太、まだ先の話なんだけど。クリスマスにどうしてもやりたいコトがあるんだぁ。」
「ん?なに?」
「遊園地、行きたい❗」
私が子供の頃に遊びに行っていた遊園地は、クリスマスに特別なイベントがある。
遊園地全体がクリスマスイルミネーションで飾られ、クリスマスソングが流れる。
さらに、カップルで入場すると、記念品がもらえる。
その記念品とは…。
日付を彫った七色の石。
一年に一度、一色だけもらえるその石は、連続七年かかって全部の色がそろう。
私は、どうしてもこの石がほしかった。
子供の頃からの夢だった。
この石に小さな穴をあけて、七色のペンダントにするんだ。
そのペンダントが完成したトキ、私の願いが叶う…。
私なりのジンクスにして、ずっと夢みてきた。
「いいよ、そのペンダント、俺が一緒につくるよ。」
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