二人

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夏休みが終わった。 悠太は部活の毎日で、それでも日曜日は必ず会って話をした。 海にも行った。 花火大会にも行った。 神社のお祭りにも行った。 お祭りでは 人気のない公園で 笛や太鼓の音、にぎやかなざわめきを遠くに聞きながら、 初めてのキスをした❤ 身体中の血が熱くなり 心臓の音が頭いっぱいに響き渡り 手と足が震えた… そんな私の様子に気付いてか、悠太は力いっぱい抱きしめてくれた。 大丈夫 怖くない 愛してる 悠太の腕からは、緊張でガチガチになった私をほぐすかのように、そう聞こえた。 私はそのたくましい腕に安堵の気持を覚え 悠太の胸に顔をつけて、その背中にまわした手をそっと組んだ。 幸せな数十秒が流れ どちらからともなく顔を見合わせた私たちは 再び唇を合わせた… その後のコトはあまり覚えていなかった。 少し照れくさくて、帰り道はあまり会話せずに帰った。 繋いだ手から伝わる温かさが、お互いの存在を確認できた。 私が、悠太を大きく感じた、そんな夏だった。
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