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遊園地の敷地内は、クリスマス色に染まっていた。
木には電飾が飾られ、ショップにはクリスマス限定グッズが並んだ。
係員ばかりでなく清掃員に至るまでサンタクロースのような赤い服と帽子、靴を身につけていた。
その風景を見ているだけでワクワクした。興奮のしすぎで目がうるんだ。
「朱李?どうした?」
私は目を擦りながら言った。
「なんでもない。嬉しくて。私、悠太と一緒に来れてよかった。」
悠太は笑って、私の頭をギュッと抱きしめた。
そして固く手を握った。
「俺もだよ。夢みたいだ。幸せだよ、俺。」
私たちは遊んだ。
ジェットコースターで悲鳴をあげた。
メリーゴーランドでほのぼのと笑顔を交した。
ウォータースライダーで先頭で思いきり水をかぶった。
思いきりクリスマスの雰囲気を堪能した。
気がつくと、夕方で暗くなっていた。
私たちは観覧車の方へ歩いた。
観覧車乗り場の近くに、小さなワゴンがあった。
ワゴンの前には何人かのカップルが並んでいた。
私の心臓が高鳴る。
あれは…
あれは…もしかして…
悠太が私の手を引いてその後ろに並んだ。
その時間わずか数分だったと思う。
でも私にはその時間が、もっと長く、現実ではない時間に感じた。
そして、私たちの番がきた。
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