危機

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悠太は、私の顔を睨みつけた。 「何でだよ。何で俺ばっか責めんだよ!俺だって離れたくなかったよ。仕方ねぇだろ!夢だったんだよ。陸上で大学行くの夢だったんだよ! …そんなに言うなら、朱李が東京行ってもいいんじゃねぇの⁉」 「無理だよ、私は!大体悠太は、いっつも調子良すぎじゃん!」 売り言葉に買い言葉…。 私がちゃんとココで事情を話せばよかった。 話なら悠太はちゃんとわかってくれる人だから…。 あとはお互いを傷つけるような言い合いにしかならなかった。 「もういい❗悠太なんてしらない❗別れるッ‼」 「あぁ、そうかよ❗じゃあな‼」 私たちはお互いに背中を向けて歩き出した。 涙が溢れた。 悠太なんて… 悠太なんて… 『大嫌い』という言葉は頭の中に一瞬浮かんで、 すぐ消えた。 だって嫌いじゃない… でも、むかつく… 本当は好きなのに… 何て言えばいいのか言葉がみつからない… 『じゃあな‼』 悠太の最後の言葉が、ずっと響いてる。 二人の間にあるドアが勢いよく音をたてて閉められた。 夏休み目前の、暑い日だった。
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