29人が本棚に入れています
本棚に追加
悠太は、私の顔を睨みつけた。
「何でだよ。何で俺ばっか責めんだよ!俺だって離れたくなかったよ。仕方ねぇだろ!夢だったんだよ。陸上で大学行くの夢だったんだよ!
…そんなに言うなら、朱李が東京行ってもいいんじゃねぇの⁉」
「無理だよ、私は!大体悠太は、いっつも調子良すぎじゃん!」
売り言葉に買い言葉…。
私がちゃんとココで事情を話せばよかった。
話なら悠太はちゃんとわかってくれる人だから…。
あとはお互いを傷つけるような言い合いにしかならなかった。
「もういい❗悠太なんてしらない❗別れるッ‼」
「あぁ、そうかよ❗じゃあな‼」
私たちはお互いに背中を向けて歩き出した。
涙が溢れた。
悠太なんて…
悠太なんて…
『大嫌い』という言葉は頭の中に一瞬浮かんで、
すぐ消えた。
だって嫌いじゃない…
でも、むかつく…
本当は好きなのに…
何て言えばいいのか言葉がみつからない…
『じゃあな‼』
悠太の最後の言葉が、ずっと響いてる。
二人の間にあるドアが勢いよく音をたてて閉められた。
夏休み目前の、暑い日だった。
最初のコメントを投稿しよう!