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私は沙希に昨日のコトを全部話した。
沙希は、時折頷きながら黙って話を聞いてくれた。
私の両親は、私が小学2年生のトキに離婚した。
私はお母さんに引き取られ。
『朱李はお母さんにみたいになっちゃだめよ。理解のある旦那さんを見つけて、結婚しても自分のやりたいことをやるのよ。』
お母さんは、いつも私に言う。
離婚の原因は自分にある。自分は仕事に一生懸命だったけど、お父さんは、それが嫌だった、とか。
そこで意見が食い違っちゃって毎日ケンカが絶えなかったみたい。
確かにその頃、お父さんとお母さんはよくケンカしてた。
お母さんは今でも言う。
『あの頃は朱李には悲しい思いばっかりさせたね。でも、お母さんは、朱李と一緒にいたくて裁判でやっと朱李の親権を手に入れたの。』
私が地元の大学を希望する理由はソコなんだ…。
そうでなければ、とっくに悠太と同じ都内の大学受けてる。
でも、このコトはお母さんに言ってない。
お母さんは
『朱李の行きたいトコに行きなさい』
っていつも言ってる。
今まで一人で私を育ててくれたお母さんを、一人になんてできなかった。
私が話し終えた後、沙希は少し涙を浮かべていた。
「仕方ないのかな。…遠距離覚悟で戻れればいいんだけど…。」
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