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「朱李。何ボーッとしてんのっ😃寄り道して帰ろっ❗」
私は慌てて窓から離れた。窓の外では、陸上部が来週の大会に向けて走り込んでいた。
私は陸上部の練習を見てるのが好きだった。
夕焼けでオレンジ色に染まったグランドを走る姿が好きだった。
そこだけ異空間に紛れ込んだような景色…。
私は親友の沙希と一緒に教室を出た。
「さっきさぁ、窓から何見てたの?」
寄り道したハンバーガーショップでアイスティーを飲みながら沙希は私をからかう。
「本当は知ってんだ。朱李が窓から陸上部見てんの。…で、誰よ⁉」
「そんなんじゃないよ。走ってるの、見るの好きなだけ❗」
沙希は口を尖らせた。
でも本当なんだ。私は誰か特定の人を見てるワケじゃない。
好きなヒトもいない。
しばらく納得いかない顔をしていた沙希は、またアイスティーを一口飲んだ。
その次の瞬間から私たちは全く別の話で盛り上がった。
「昨日のドラマさぁ…」
「ウチの弟がさぁ…」
「新発売のチョコ食べた?」
とめどない話は二時間くらい続いた。
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