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「今日はありがとう、応援してくれて…。でも、ごめん。カッコ悪ぃとこ見せて。」
私は首を横に振った。
黒沢悠太は少し恥ずかしそうに笑った。
「俺さ、本当は10000メートル走る自信なかった。途中でリタイアすると思ってた。転んだトキも、もうダメだと思った。でも今日は頑張れた。キミのおかげだよ。ありがとう。」
私はこのトキ、黒沢悠太を好きだと思った。
びっくりするくらい素直にそう思った。
「本当、ありがとう。全然知らないヤツの大会なんて、見に来てくれるなんて思わなかった。それじゃあ。」
黒沢悠太は私に頭を下げると、背中を向けて歩きだした。
―ごめんなさい。急だから、何て返事していいかわからない。―
―そうだよね。ごめん、急に…。返事は今すぐじゃなくていいんだ。…でも、今度の大会見てもらえないかな。気がむいたらでいいんだ。―
黒沢悠太を知りたいと思った。
悪い人じゃない。
直感でそう思ったんだ。
こんなふうに誰かのコト思ったのは初めて…。
私は、黒沢悠太の背中を呼びとめた。
「黒沢くん。待って。…正直まだわからないけど、あなたのコト知りたい。この前の返事。私でよかったら付き合ってください。」
黒沢悠太は、私の初めての彼氏になりました❤
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