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「朱李。悠太クン来てるよぉ❤」
沙希が私を呼んだ。
私と悠太が付き合ってから一ヶ月がたった。
部活が忙しい悠太に合わせて、放課後デートはしないことにした。
そのかわり昼休みは一緒にご飯を食べることにしていた。
「なぁ、朱李。今週の土曜日、部活休みなんだ。たまにどっかで遊ぶ?」
「いいの⁉やったぁ❗どこにしよっかぁ。映画?買い物?ディズニーランド?楽しみぃ❤」
そんな私の浮かれぶりを見て悠太は笑った。
この一ヶ月、お互いを理解しようと、ひたすらに話をした。
昼休みの短い時間、日曜日、夜の電話…。
話すコトは何でもよかった。友達のコト、家族のコト、TVのコト、過去のコト、将来の夢…。
話してるコトは何気なくても、話し方や態度で相手を理解できはじめていた。
少しだけ悠太を理解した私は、ますます悠太を好きになった。
「そんなに楽しみ?朱李が嬉しそうだと、俺も嬉しくなるな。」
思わず顔が緩む。
今まで感じたコトのなかった『幸せ』を目の前にして、怖いくらい。
「じゃあ、やっぱり公園❗お弁当つくるから。一日のんびりしよ。」
「そんなんでいいの?」
私は大きく頷いた。
だって何かをするよりも、悠太を近くで感じられると思ったから。
もっともっと近くに行きたいと思ったから。
「じゃあ俺、海苔で巻いたおにぎり。具は梅。あと、卵焼きがいいなぁ。」
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