イブ6日前

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今の聞かれてないよな…。 黙々と準備をしながら横目で椎名をチラチラと見る。 カウンターの側で他のスタッフと話をしていて、こちらを気にしている様子はない。 ああいうのに限って、陰険だったりするかも知れないし、聞かれてたら、後が怖いぞ。 身震いすると、作業の速度を上げる。 「あ、本田さん」 びくっと肩を震わせた。 カウンターから椎名の声がする。 「は…はひ…」 恐る恐る振り向くと、椎名が笑顔で近づいて来た。 翔子の肩を叩くと耳元で、 「大丈夫ですよ、聞かなかった事にしますから」 と囁いた。 翔子の表情は、氷の様に固まってしまった。
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