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今の聞かれてないよな…。
黙々と準備をしながら横目で椎名をチラチラと見る。
カウンターの側で他のスタッフと話をしていて、こちらを気にしている様子はない。
ああいうのに限って、陰険だったりするかも知れないし、聞かれてたら、後が怖いぞ。
身震いすると、作業の速度を上げる。
「あ、本田さん」
びくっと肩を震わせた。
カウンターから椎名の声がする。
「は…はひ…」
恐る恐る振り向くと、椎名が笑顔で近づいて来た。
翔子の肩を叩くと耳元で、
「大丈夫ですよ、聞かなかった事にしますから」
と囁いた。
翔子の表情は、氷の様に固まってしまった。
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