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「と…取り敢えず、時刻表を見よう」
ホームの時刻表を探す。
確認すると12時丁度に電車があるようだ。
「今は……11時50分だからこれに乗れば間に合う」
ホッと一息付くとベンチに座った。
乗り換えする人や、階段を上がって行く人を横目で見ながら、手を擦る。
ボーっと、見ていると見覚えのある顔が横切っていった。
「あ、ちょっと!」
振り向くと眼鏡にコートを来た昨日の男が、不思議そうに振りかえる。
「……あ、昨日の……」
「携帯拾ってくれたのに、あんな態度取ってごめん」
「気にしなくていいですよ」
昨日と同じ控え目な笑顔で笑う。
「変なメールが来て、それでちょっと敏感になってたんだ」
「いいえ、昨日も謝って貰ったから。そう言えば、降りるのこの駅じゃないですよね?」
「あー…寝過ごしてね。ってなんで知ってるの?」
「僕、大体同じ電車にいつも乗ってますから」
「…もしかしてストーカー?」
「違いますって!あそこの駅から乗る人少ないし、いつもベンチで待ってるから何となく記憶してるだけですよ」
少しムキになって彼は言う。
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