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これで斎藤宝に怯えなくて済む。
少し安心すると翔子もジョッキを開けた。
それから何杯か追加して、一品料理の数も増える。
晴はチラチラと時計を見る。
時計は10時前を指していた。
…そろそろ来る時間か…。
翔子がそう思った時、
「お待たせしてすみません」
目の前に椎名が表れた。
「全然大丈夫です。どうぞ」
晴はいち早く隣の席に座れる様に荷物をどけた。
はやいなぁ…
翔子は思わず苦笑した。
メニューを渡してどれにするか決める椎名のすぐ横で晴もメニューを一緒に見る。
「…じゃあビールで」
「私も。後これとこれ」
端から見れば美男美女カップルだな。
美女は少しケバいが。
そんな事を思いながら、翔子はジョッキをあけた。
「椎名さんって彼女いるんですか?」
「いえ、いませんよ」
「じゃあ好きな人は?」
「それもいません」
「じゃあ、彼女候補に立候補してもいいですか?」
「考えておきます」
一方的に晴が話し、椎名が返答する…と言う構図が出来上がっていた。
翔子はそんな二人を眺めているだけだった。
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