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「ごちそう様でした」
店を出たのは12時少し前。
翔子の終電が無くなるので解散となった。
晴と椎名は家が同じ方向らしくタクシーに相乗りすると言った。
「いえ、たまにはこういうのもいいですね」
「翔子ぉー、また飲もうねぇ」
「じゃあまた。お疲れ様でした」
酔って気分の良い晴は、椎名に寄っ掛かかりながら、タクシーに乗る。
椎名さんでも酔っぱらいを介助するのか…。
やっぱり私が変な風に見すぎたのか。
そんな事を思いながら、駅に向かう。
終電という事もあり、電車はガラガラだった。
だから、河合がいるのが直ぐに分かった。
「あれ?本田さん?」
少しフラフラしながら歩いてきた河合の顔は赤い。
「飲んでた?」
「上司に誘われて。終電なので逃げて帰って来ました。本田さんは昼勤じゃなかったんですか?」
「私も飲んでたんだ」
「え。そんな風に見えない」
翔子の顔は赤くもないし、普段と変わる所はない。
お酒が強いと言われるが、別に酔ってない訳ではない。
「これでも酔ってるよ」
「嘘だぁ。普通ですよ」
河合が翔子の隣に座る。
ビールの匂いが少しする。
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