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「そう言えば本田さんって何の仕事してるんですか?」
「ジュエリーの販売員」
「もっと固い仕事のイメージありました」
「良く言われるよ。そっちは?」
「僕は中企業の会社員ですよ」
「そうか」
翔子の携帯のバイブが鳴った。
着信を見ると"椎名"とある。
「電話だから出るよ」
「はい、いいですよ」
通話ボタンを押して、返事をする。
「椎名ですけど…」
「お疲れ様です」
「今井さんの家ってどこですか?」
「どうしたんですか」
「タクシーの中で寝てしまいまして、起きないんです」
あぁ、晴のやつ狸寝入りだ。
このまま椎名さんの家に行く気だ。
「晴の家は分かりません。椎名さんの家に泊めてあげたらどうですか?」
「そうですか。それでは仕方ないですね」
「すみません」
「いえ、電話すみませんでした」
椎名との電話が終わると悠太がにこやかに笑っていた。
「ど、どうした?」
「彼氏ですか?」
「今の会話のどこが彼氏に聞こえるんだ」
「じゃあ好きな人」
「…なんでそうなるんだ」
「声が違ったから」
「上司だからだよ」
河合が疑いの眼差しを向ける。
「まぁ、そういう事にしときますよ」
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