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祥子は、いつもの電車に揺られていた。
買い物に行くなら、働いている店のある、モール街が便利だし、時間を気にせず、買い物が出来ると言う理由から。
電車を降りて、歩いていると喫茶店が目に入った。
前に晴がまぁまぁ美味しいと言った喫茶店だ。
少し、気になったが、昼には早すぎるので、後で入ろうと、止めた足を動かした。
「…本田さん?」
声がして振り向くと、そこにいたのは。
「椎名さん…」
「今日は午後からでは?」
「いえ…買い物に…」
「そうですか」
喫茶店に気を取られていたが、自分の働く店も、直ぐ向かいにあった。
椎名さんに気付かなかった自分に後悔する。
しかし、昨日の事が気になる。それだけは、聞いておきたかった。
「あの…昨日晴は…」
「ああ、何とか起こして、タクシーで帰って貰いました」
ー終了ー
ああ、晴、失敗。
流石の晴も強引にはいけなかったんだな。
「本田さんは、今から何を買いに?」
「えっ、…服…です」
「今から、少しご一緒してもいいですか?」
…今、何と?
椎名さんと服を見るのを、ご一緒する…??
様子を伺うと、至って真面目な顔をしている。
「あの…そういう趣味がおありですか?」
つい、思った事をうっかり口に出してしまってから、慌てて口を塞ぐ。
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