イブ4日前

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カランと、ベルの音がする。 ドアを開けた先に待っていたのは、喫茶店の期待を良い意味で裏切らない内装。 お昼のピークは過ぎたようで、人もまばらにしか 祥子と椎名は、店の近くの喫茶店に来ていた。 お昼はここにしようかと思っていた店だ。 「おや、今日は女の子連れてるね」 カウンターの向こうで、いかにもマスターですと言わんばかりの男が立っていた。 「部下ですよ」 カウンターの席の1つに腰掛けると、祥子に手招きする。 大人しく隣に腰掛けると、女の子が隣に来た。 「お水です。それから此方がメニューです」 にこにこと笑うその姿は、どこか梨奈と被る。 可愛い女の子だ。 「ランチで。本田さんもそれで良いですか?」 「はい」 まぁ、喫茶店なのだから、他は軽食位しかないだろう。 と思い、同じものを頼む事にした。 「椎名さんが、女の子連れてくるなんて、珍しいですね」 「さっき、マスターにも言われましたよ」 2度目で恥ずかしくなったのか、椎名は、苦笑いで返した。 …あー、笑ってる。 普段見せない表情なので、視線が外せなくなった。 思えば、椎名さんの隣に座ることも、ランチすることも、仕事以外の顔を見るのも初めての様な気がする。 今日は、不思議な1日だ。 「どうしたんですか?」 視線に気付いて、声を掛けられる。そこで、初めてずっと見ていたのだと気付かされた。 「…何でもないです」 苦手だと思い込んで、距離を取っていたから気付かなかったのかも知れない。
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