第四章・―一件落着―

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「……助けられなかった。助けられなかった。……くそっ」  悪魔が消えて、傷が嘘のように癒えた蛇眼は寝転んだまま、その頬に一筋だけ、きらりと光るモノが伝い落ちた。  それがとても後味の悪い、事件の幕引きだった。  全壊させてしまった校舎は、玄櫂の能力で何とか元に戻す事が出来た。  悪魔の力で保たれていた結界は壊れ、後には何事もなかったかのような校舎だけが佇んでいる。  彼らは、依頼人には事件が解決しえなかった事だけを告げ、依頼料は一切受け取らなかった。  しばらく世間では、行方不明になってしまった女の子の事が話題となった。  その女の子が一連の事件の犯人だと言う者。  彼女もまた、被害者の一人だと言う者。  意見はさまざまに飛び交ったが、その真相を知った者はただの一人もいなかった。  この事件に関わった、十夜を初めとする式神達を除いてはーー。          第一話 了
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