第一話・―消え失せた依頼―

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 先に経営を始めていたのは敦象が佇んでいるビルの主、望月十夜(もちづきとおや)の方である。  十夜は一夜の二歳年上の兄であり、現在十二の式神を従えている“Guardian(ガーディアン)”という、人ならぬ存在である。  元は普通の人間だったのが、Guardian(ガーディアン)を創り出した創世神の気まぐれによって運命を無理矢理に曲げられてしまったという、結構ハードな過去を持っている。  天使だと明確に示されている存在だという割には、決して天使階級には属せないのだとも言われていて、彼らと同じように半永久的な生命力を持っているにも関わらず、その中では珍しく、唯一代替わり制である。  そのため、自分の命を脅かす輩から身を護るために、生まれつき強力な式神を使役する事も出来るのだ。  普通の能力(チカラ)を持つ者ならばせいぜい一や二といった数しか使役出来ないが、十夜は歴代のどのGuardian(ガーディアン)よりも抜群の能力を持っていたため、十二の式神を従えていた。
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