第三章・―精霊の正体―

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「俺は悪魔の言う事など信じない。悪魔が嘘をついているのであれば、どこに隠すのかと考えてみた。まず、旧校舎には誰もいない事が判明している。そうなると、次はこの本校舎だ。ここは全くと言って良い程探索をされていない。だが、悪魔が人間を扱い易くするためには、自らの側に置いておく必要があるんじゃあないかと思ってな」  蛇眼の説明に、敦象が納得し後を続ける。 「あぁ。それで一番怪しいこの教室に、人間がいると睨んだのですね」 「お目付け役の子鬼もいた事だしな」  結論が出ると蛇眼は蒼輻の方を見て合図をする。それに頷くと、悪魔の周囲に向かって氷の檻を張り巡らせた。  そこに玄櫂が結界を張ると、悪魔の動きを封じる。  そうして朱梨が、ゆっくりと教室の引き戸に手をかける。  悪魔を置き去りにして全員が教室の中に入ると、怯えきった表情の女の子が、机と椅子が並ぶ教室内で、ど真ん中にある椅子に座っているのが見えた。
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