第三章・―精霊の正体―

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「……それで、何で精霊なんかを呼び出したりしたのかな」  玄櫂は女の子をこれ以上おびえさせないように、蛇眼とは全く違う人好きのする爽やかな笑顔を見せる。  相手から情報を聞き出すには警戒心を解く事が先決なのだが、玄櫂が女の子の警戒心を解こうと必死になっているのに、蛇眼と朱梨と敦象は別の話を展開していた。 「どうして俺が押し退けられるんだ」 「蛇眼があの子に対して、配慮のない言葉を言おうとしてたからでしょ」  蛇眼が呆れた顔で小さく笑う。 「今更隠して何になる。この事は、遅かれ早かれ言わなければならないんだ。だったら最初に言っておいた方が、ダメージも少なく済むし良いだろうが」  しかし朱梨も負けておらず、反論を聞いて呆れ顔で敦象に同意を求める。 「だからって言い方ってモノがあるでしょ」 「そうですよ。あの場面で本当の事を言うには、少し酷すぎると俺も思います」  それを聞いた蛇眼はしばらく黙って二人の顔を交互に見ていたが、やがて苦い顔を浮かべると女の子の方へ向かった。
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