第三章・―精霊の正体―

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 納得した敦象は、蛇眼の方へと視線を戻す。 「私、どうすれば良いんですか?」  敦象と玄櫂のやり取りの間も続いていた蛇眼の、女の子に対する説得は通じたらしく、女の子はいくらか落ち着きを取り戻していた。  その様子を確認してから、蛇眼が女の子に視線を向けると言った。 「君は、君が殺した人間達の、無念の思いに報いるためにも、これからしっかり生きて十字架を背負っていくべきだ。今は辛いだろうが、永遠に君の贖罪の日々が続く訳じゃあない。その重荷を下ろせるその日まで、君は生きて彼らに償いをするべきだ」 「はい……。ごめ……ごめんなさいっ……」  女の子が泣きじゃくりながら頷くと、それを合図にしたように、緊張した空気が一気に洗われ、明るい雰囲気の教室に戻った。  ようやく一件落着したかと判断したのか、全員が一斉に溜め息を吐くのを機に、取り敢えずこの場はそれで落ち着きを見せたようだった。
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