第四章・―一件落着―

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 少なくともこれで、少しでも悪魔に近付く事は出来る。  蛇眼は悪魔に不意打ちを食らった事に対して、かなり頭にきているのだ。  油断は敗北を招くものだと知っていながら、あり得ない失態を重ねてしまった事に憤る。  そうして今日、何度目かの本気モードの表情を見せると一気に悪魔の懐へと飛び出していく。  悪魔が攻撃に備えるため女の子の身体を放り投げたのを見て、珍しく怒りの表情も隠さずにいるのだ。  そのまま懐にまで滑り込むと、勢いを落とさずに香蛾刃を悪魔の頭上に振り下ろす。  ーー瞬間、激しく散る火花。  脳天を穿つかと思われた香蛾刃は、何と悪魔に素手で受け止められていた。  ぎりぎりと、互いに押されぬよう力を込めていく。  全力を込めている筈なのに、対する悪魔は余裕の表情で、大胆不敵にも心の隙をつく発言をしてみせる。
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