654人が本棚に入れています
本棚に追加
/733ページ
「君にとってあの女の子はそんなに大事な存在なの?」
既に心の内を見てきたような的確な言葉で、不意をつかれた蛇眼の香蛾刃を握る手の力が少し落ちる。
そのせいで途端に悪魔の力に圧される体勢となった蛇眼は、明らかに動揺しているようだった。
悪魔はニヤリと不気味に笑うと、更に意地悪い口調で続ける。
「そういえば君とあの子、凄く似ているもんねぇ」
「……黙れ」
そこで初めて悪魔の言葉を遮る。
「君は、何度死のうと思ったのかな」
「それ以上言うと……」
「どうなるんだよ。ねぇ。教えて?」
悪魔が大口をあけてけたけたと笑い出す。
蛇眼はしばらく黙ってそれを聞いていたが、やがて耳障りだとでも言うように突然香蛾刃を引いたのだ。
反動で悪魔が体勢を崩したのを確認した蛇眼が即座に、背中に思い切り香蛾刃を振り下ろす。
最初のコメントを投稿しよう!