第四章・―一件落着―

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 その攻撃が蛇眼の元へと届く直前、悪魔の横手から突然、蒼い氷の炎が放たれた。  爆音と共に、悪魔の存在自体が一瞬の内に消滅した。  とっさに避けていた蛇眼がしばらくの沈黙の後、愕然とした表情で呟く。 「なんて事だ……。どうして、こんな事に……」  そうして蒼輻の方を向くと、責めるように凄んだ。 「お前、今自分が何をしたか分かっているんだろうな」  しかし蒼輻は何も答えない。  すれと、蛇眼はそれを見て更に語気を荒げる。 「貴様、こんな取り返しのつかない事をして……! お前には、慈悲心というものがないのか?」  蛇眼の言葉は、女の子の身を案じて言っているものだとその場にいる全員が思った。  悪魔との契約は、悪魔に自らの願いを叶えてもらった後、自らの魂を捧げるという方法がとられる。  契約自体は決して覆らず、また、悪魔が相手であるために、反故にする事も不可能だ。
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