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第1章 ~舞い降りた雪~
-2004年12月24日-
PM 9:00
「…っはぁぁ~」
東京の騒がしい夜の道を俺は肩を落としながら歩いていた。
「ったく!『あなたの歌は生きていない』だぁ!そんなわけのわからんアドバイスで新人が育つか!?」
ちっ、と舌打ちをしながら小石を蹴飛ばした。
三年前に歌手になるために家族の反対を押し切り上京してきた。が…、全く成功する気配もなく、今年も終わろうとしていた。
そして、今夜もオーディションに落ちて帰宅中というわけで…。
「あぁ…くそっ!今年もダメだったか…」
そう呟きながら俺はいつもの場所に向かっていた。
いつもの場所…
そこは、上京してからほぼ毎日歌の練習をしている場所で、最初は一人でアコギを弾きながら歌っていたのだが、三年目にまでなるとギャラリーが集まり、今では毎回聴きに来てくれるお得意様までいる始末だ。
さらにたまにギターケースにお金まで入れてくれる人までいて、実は結構助かっている。
オーディション会場から歩く事20分、いつもの場所についた。
PM 9:20
-神成公園-
「あっ!来た来た。オーディションどうだったぁ?」
「寒かったよ~、待ちくたびれた!」
いるいる、売れない歌手志望の数少ないファン達が…。
「あぁ、ダメだった…」
俺は正直に答えた。
「そうか…。まぁあれだ、俺達がいるから、また来年がんばればいいさ」
おまえら…
ありがとうな。ほんとに感謝してるよ。
「っし!んぢゃ今夜も歌いますか、気合い入れっからよく聞いとけよ?」
俺はゆっくり目を閉じた。
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