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ハルの声は、独特だった。地声は低めにも関わらず、女のような高い声まで出せる。歌唱力もさることながら、彼は顔立ちやスタイルも抜群で、観客全てを魅了していった。
PM 10:00
ライブは盛り上がりを増していった。
ここでハルのトークタイムに入る。
「みなさん！盛り上がってますか？」
汗だくのハルは元気よく尋ねる。
もちろん観客からは予想通りの大歓声が返ってくる。
「え～、次の曲はですね。バラードなんですけど…ちょっと待って下さい…」
ハルはスタッフから何かを手渡してもらった。
そしてそれを首に巻いた。
この瞬間から観客は歓声をあげていた。
彼が首に巻いたのは白い色をしたマフラーだった。このマフラーが何を意味するのかを、観客は解っているのだろう。
「え～、みなさんもう解って頂けているようですね？俺がこのマフラーをして歌う曲はあの曲だけです。X'masということでラストはバラードでいきたいと思います。」
「さて、歌い始める前にですね～、よくファンの方から質問される、このマフラーについて、少し話したいと思います。ただ少しばかり昔話になりますので、インターバルな気分で聞いてやって下さい」
そう言ってハルは目を閉じ、静かに語り始めた…。
全てはあの日から始まった。
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