1151人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はエリザベスに近づいた。
俺よりもちょっと高い身長。はち切……ふくよかな体型は制服を膨らましている。髪の毛はいつものように、綺麗に三つ編みにしていた。まつ毛が長く、頬にはそばかすがある。そして、重度の……。
「海山先輩、直也さまがどこにいるか、ご存じですか?」
直也好きである。ライバル潰しをするほど好きなのである。ゴスロリ服を着させるほど、好きなのである。
「直也は確か、エリザベスが飼っているんじゃなかったか?」
「直也さまを飼うなんて、ありえません」
俺の記憶が確かなら、学校に登下校している時に、直也を抱えているエリザベスの姿を何回も目撃している。あれは可哀想な光景だった。それに、ここ二週間、直也と話していない。つまり、直也の居場所など知らない。
「直也の居場所なんて、まったく知らないな」
「海山先輩、嘘は吐かないでください。じゃないと……」
エリザベスが誰もいないところに、裏拳を放った。
海山家の向かいに住んでいる立川家の表札が粉々に飛び散った。
マジですか!?
「えり!すごいのじゃ!」
「ああなってしまいます。知らないなら、呼び出してください。何があってもです。私はどうしても、直也さまに会いたいのです」
「エリザベスお嬢様、私めに策がございます」
「聞きましょう」
この後、メールで直也を誘きだして、エリザベスに差し出した。俺は解放され、千世と一緒に学校に無事登校した。
しかし……。
「この野郎!逃げんな!」
エリザベスから逃げ出すことに成功した直也は、俺を学校で追い回している。
罪がない俺を追い回している意味がわからない。あの状況ではあれしか方法はなかったのだ。あの裏拳を直に食らっていたら、確実に生涯を終えていただろう。
最初のコメントを投稿しよう!