1151人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぅ~ん」
部屋の窓を開けて、俺は体を伸ばした。
朝の澄んだ空気と暖かい日差しが気持ちいい。
今は四月下旬。四月上旬にはあった寒さが完全に消えつつあり、すごく過ごしやすい季節だ。
本当なら布団の中で、まだ寝ていたいのだが、そんなわけにはいかない。
学生だからである。
「うぅ~……眠い……のじゃ」
俺の隣に立っている妹が言った。俺は目線を下げる。
黒くて綺麗な長い髪には、寝癖がついていた。いつものパッチリとした目は、睡魔が邪魔してまだ半開きだ。
みかんのプリントがあちらこちらにされているパジャマがはだけて、白くて滑らかな肌が見えている。
年齢十五歳、身長百十七センチ(測定済み)、体重は本人が教えてくれなかったが軽量。名前は千世。種族は神様(らしい)。
「だったら寝てろ」
「いやじゃ……学校に行くのじゃ」
歳とは想像できないこの喋り口調にも、約二週間一緒に生活すれば慣れたもんだ。
「和輝、早く朝ご飯を食べに行くのじゃ」
覚束ない足取りで、千世が歩きだした。大丈夫……。
「痛っ」
じゃなかった。覚醒仕切っていない千世が、開いてもいない扉を進もうとして、頭をぶつけていた。
何その間抜けの中に、可愛さをふんだんに取り入れた行動は。全国のロリ妹天然好き男性のハートを確実に射ぬいてしまいますよ。
「かずき~痛いのじゃ~」
難なく撤退してきた千世が、俺に抱き付いてきた。
「かずき~あの扉がわしに意地悪するのじゃ~」
千世が弱々しい声で、文句を俺にぶつけてきた。
「意地悪しているのは扉じゃなくて、千世の脳みそじゃないか?」
「和輝まで意地悪するのじゃ~」
「はいはい」
俺は千世に抱き付かれながら、部屋を出ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!