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「海山先輩、おはようございます。今日もいい天気ですね」
「げっ」
「えりじゃ」
百合川エリザベスが家の前で立っていた。千世はエリザベスのことをえりと呼んでいる。そして……。
「えり、おはようなのじゃ」
千世がエリザベスに駆け寄った。
「千世、おはようございます」
なぜか仲がいい。以前、千世とエリザベスの間で、こんな会話があった。
『そこのチビ!三年二組の桐山直也さま……』
『わしはちびではないのじゃ!お主は何者じゃ?きりやまなおやとは誰じゃ?』
『直也さまのことをご存じないのですか?』
『和輝と涼のことなら、知っておるぞ。それで、きりやまなおやとは誰じゃ?』
『いえ、知らないのならそれでいいのです。無礼をお詫びします。すみませんでした』
『別にいいのじゃ』
『私の名前は百合川エリザベスといいます』
『わしは千の世で千世じゃ』
『あなたとは仲良くやっていけそうです』
『よろしくなのじゃ』
ってな具合で仲良くなっていた。簡単に言えば、自分の恋の障害にならない人とは、仲良くできるということだ。
そして、この後の俺とエリザベスのやり取りが、直也に追い掛けられる原因になったと思われるできごとである。
自分の名誉のために言っておこう。俺は無罪で、罪はないと。
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