官渡の戦い

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袁紹「!? やっ…やはり貴様…裏切る気だな!」 天趙「……………………………………」 袁紹「何をしておる! はやくこの謀反人を切り捨てんか!」 袁紹は周りの倭劉達に怒鳴った。 倭劉「袁紹さんよ… 俺達はあんたに仕えてるわけじゃないんだよ… そこにいる天趙様に仕えてんだ! あんたの命令は聞けないね!」 袁紹「なっ!」 杏泉「その通りです。 袁紹様にお仕えするのは建前… 真には天趙様にお仕えするため!」 袁紹「貴様ら…」 雷核「さぁ、天趙様! 我らに命令を!」 沃砕「獅羅… もう我慢することはない! 獅羅のやりたいようにやれ!」 天趙「お前達… あいわかった! 我らはこれより戦線を脱し放浪軍となる!」 沃砕・雷核・杏泉・倭劉「御意!」 袁紹「なっ…拾われた恩を忘れ、今まで厚遇してやった恩まで忘れ、私を裏切ると言うのか!」 天趙「袁紹様…いや袁紹よ! あなたに天下を治める器は既にない! ここで曹操に討たれることこそ天下のため! 我らは手は下しはしないが、近いうちに曹操により滅ぼされるでしょう!」 天趙は言い放った。 今まで溜めていた袁紹への鬱憤を… そして…決別を… その時、後ろから高笑いが聞こえた。 ?「はははははは! 袁紹よ…臣下にそこまで言われて貴様は言い返すことすらできまい。 君、君足らずば、臣、臣足らず。 正にそれだな。」 男は袁紹を一瞥し天趙を睨んだ。 ?「天趙と申したな? 今の言葉は私にも響いたぞ。 私は漢の丞相・姓は曹・名も操・字を孟徳という。」 天趙「!」 そう…目の前にいる男こそ袁紹の宿敵… 曹孟徳に他ならなかった。 曹操「貴殿の武は張コウから聞いている。 どうだ? 放浪軍なぞにならずに我が軍に入らんか? 袁紹よりも厚遇するぞ。」 曹操は人を観る目があり、才のある者なら出自・経歴・年齢を気にせず登用した。 また臣下の進言をよく聞いたので軍事の強化・内政の充実など様々な政策を素早く実行に移していた。 その目が、その耳が、そして実行力が曹操を短期間に強くした。 しかし、それは曹操のカリスマ性があってこその産物に過ぎない。 曹操にカリスマ性がなければ、ここまで強くはならなかったであろう… 天趙「お言葉は嬉しいのですが、我々は放浪し各地を周り未だに蔓延る黄巾の残党を討ち、民に平穏を取り戻したく思い、辞退させていただきます。」 天趙は丁寧に曹操の誘いを断った。
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