官渡の戦い

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「くそっ…よもやバレたのではあるまいな…」 高覧「張コウ殿!あれは我が軍ではありません!曹操軍の夏侯惇殿の軍勢であります!」 張コウ「夏侯惇殿だと!? 何故ここに?」 高覧「わかりませぬ…まさか我々を討ちに?」 張コウ「それはあるまい… 降伏の書簡は既に出してあるのだ… 曹操殿は人の才を見出し才あれば誰であれ登用するお方だ… 曹操殿は我々の武を知っておられる…」 高覧「そうであれば良いのですが…」 張コウ・高覧の両名は不安に苛まれていた。 しかしそれも一時の杞憂に過ぎなかった。 夏侯惇「私は曹操軍の夏侯元譲である。 この軍は先に降伏を宣言された張コウ・高覧殿の軍であるか!?」 夏侯惇はそう叫び軍を見渡した。 すると二人の将がやってきた。 張コウ「如何にも! 私が張コウ、こちらが高覧であります。」 夏侯惇「そうであったか。 曹操様はお二人の降伏をお認めになった。 これよりは私の傘下に入り袁紹軍への攻撃を開始する! 良いな?」 張コウ・高覧「はっ! 身命を賭して曹操様の恩義に報いる所存であります!」 夏侯惇「良し! 今より攻撃を開始する! 張コウ・高覧は反転し左翼より、我らは右翼より攻める。 後詰めに張遼が来る。 それまでは左右の攻撃で袁紹軍に揺さぶりをかける! 全軍進め!」 夏侯惇の号令に軍は慌ただしく動き始めた。 その時だった…張コウ・高覧の軍の後方から砂塵があがった。 夏侯惇「何だ! 袁紹軍が攻めてきたのか!?」 張コウ「そんなはずは…我らが攻撃を仕掛けるまで動かぬ命令だったはず…」 夏侯惇「しかし現に砂塵があがっている!」 張コウ「まっ…まさか…天趙か…」 そのまさかであった。 天趙はいったんは裏切りを決意したものの、やはり裏切りきれずに張コウを討ちにきたのだった。」 張コウ「夏侯惇殿!あれは天趙の軍勢です!」 夏侯惇「天趙とは何者か!?」 張コウ「袁紹軍きっての猛将…武は顔良・文醜にもひけを取らず知は田豊・沮授並み…軍の統率においては袁紹軍でかなう者はいない… そんな男にございます…」 夏侯惇「なんと…袁紹め…そんな隠し玉を持っていたのか…」 張コウ「夏侯惇殿、ここは我らが引き受けます。 今のうちに袁紹軍を攻めてください。」 夏侯惇「しかし、それでは…」 張コウ「構いません。 元をただせば私が天趙を誘わなければ、こんな事態にはならなかったのです。 ですから、我らが全力で抑えます。 夏侯惇殿はお早く袁紹軍を!
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