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3日後。
再び僕は病院の待合室でボケーッとしていた。
実際のところ前回来た日に飲んだ薬で僕は一発で治ってしまったのでもう来なくてもいいかなぁ~などと思っていたが春菜の病室に行くという目的があったためついでに診療を受けることにしたのだ
「その後はどう?」
「薬ですぐに治りました」
「そうか、じゃあもう心配ないね。」
「はい。ありがとうございました」
医者の適当な診察を終え会計を済ませた僕は5階へと向かうべく歩を進めた
「また来てくれる?かぁ…」
誰もいないエレベーターの中、前に春菜の言った言葉を思い出していた。
長いこと入院しているとよほど暇を弄ぶのだろうかまた来ると言っただけであれほど喜んでくれるとは…
エレベーターが目的の階へと到着したので僕はまずナースステーションへと向かう
カウンターに置かれた紙に面会者と自分の名前、来た時間を書き入れる。
実は前回知らずに無視してしまったため「次回は書いてね」と言われていたのである
書き終え顔を上げるとナースステーションの奥で何かをしていた真実さんと目が合い軽く会釈をする
やがて春菜の部屋の前に着いた僕は扉をノックする
「はい」
ガラガラと扉を開けると相変わらずベッドに座った状態の春菜とパイプ椅子に腰掛けた男が目に映る
「清志君!!いらっしゃい」
僕を見た途端に笑顔になる春菜。
同時に振り向いた男が僕を見るなり「おっ?」と言った表情を浮かべる
─こいつは確か…
「戸田じゃねぇか!どうしたんだよこんな所に」
「祐一は清志君のこと知ってるの?」
春菜はビックリした顔で男に問う
「おぉ、俺と同じ学校でな、確か3組だ」
僕を紹介してくれたコイツは確か1組の「黒澤祐一」、話をした事はないがバスケ部に所属していて女子にやたらキャーキャー言われてる奴なので顔と名前くらいは知っている
「へぇそうなんだ、清志君座って」
そう言いながらパイプ椅子を用意してくれる春菜
「何だよお前、春菜と知り合いだったのか?」
僕が座るのを確認した黒澤が話掛けてくる
「あぁ、ちょっとした知り合いでね」
「この間話したでしょ?清志君が私を助けてくれた人なの」
律儀に紹介してくれたようだが実際僕が助けた訳じゃないのであまり過大評価されても困ってしまう
「あぁ、あれお前だったのか…サンキューな」
黒澤に何かした訳じゃないのだが何故かお礼された…と言うかコイツは何故ここにいるのだろうか?
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