634人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
ひらひら、ひらひら……
ヒラヒラ、ヒラヒラ……
雪が降る。
まるで春に桜の花びらが舞うみたいに。
ひどく美しいけれど、何故かひどく哀しくて──切ない。
もうろうとする意識の中、目の前ではタバコ片手に笑う青年がいた。
まるで何かをごまかすような、平静を装って笑った顔は苦しみを耐えるように歪んでいる。
その青年の赤い服が雪の白に映えて……
あぁ、なんで。
なんで、俺こんなことになったんだっけ?
.
最初のコメントを投稿しよう!