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「先生って慣れてるんだね。よくあるの?ナースを部屋にご招待すること」
私はわざとらしくニヤニヤと笑って見せた。
「あるわけ無いだろ。変な噂がたったら困る。阿呆な女は入れないし興味もない」
「阿呆な女?」
「院内に何人かいるだろ?ドクターとの情事を自慢気に話して、それが結局自分の価値を下げていることに気づかない阿呆な女」
――ああ、確かに居る。それに、自分がモテる男だと自慢して、実は自分のドクターとしての品性も台無しにしてる阿呆な医者も何人かね。心のうちで嘲笑う。
「神崎さんはそんな女じゃない。俺と同じ匂いがする。きっと、俺たち気が合うと思うよ」
先生は私に顔を近づけて満面の笑みを見せた。
――なんて強引な男。だけど面白い。下心を隠そうと、偽りの甘い言葉で誘い込もうとする男よりは正直だ。好奇心を擽られる。
「神崎さん、俺が怖い?嫌なら無理にとは言わない。引き返す」
先生は心を覗くように、じっと私の瞳を見つめる。
「どうして怖いの?美味しいワインいただきます」
先生の瞳を見つめ返し余裕の笑みを浮かべて見せた。
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