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私は深い悲しみと絶望感を抱えながらも、看護師の目標に向かって走り続けた。
『これで受験に失敗したら、失恋で人生も狂わされてしまう。そんな姿をあの男に見せたくない!』『あんな男なんて居なくても私は平気だ』――そんな感情を奮い立たせ、目標に向かって突き進んでいた。
恋を失った私に残されたモノは、意地とプライドだけだった。
しかし、どんなに意地を張っても、彼の住むこの岡崎市に住み続けることは、彼女と並ぶ姿を見かける事は、耐えられないと思った。
私は受験する学校を変更し、この街から離れるために名古屋市内の看護学校を選んだ。
彼と離れ、生まれ故郷から離れて6年が経った。その間に、彼氏と呼べる男と身体を交えることはあっても、それを【愛】と呼ぶことは、一度もなかった――。
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