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ガゴォ、と鈍い衝突音を立て、私は自転車ごと地面と水平に跳ね飛ばされた。
カーブミラーからは見えない角度、つまりあのバスの影からワンボックスカーが突っ込んできたのである。
咄嗟に身を反らしたのだが、自動車の前輪と左足がタイヤに巻き込まれた。
聞いたこともない、聞きたくもないような嫌な音を立てて車は進んでいく。
それは骨を削るようなガリガリという効果音であり、肉を引き千切るようなブチブチという効果音であり、文字では綴ることが出来ないような効果音であった。
受け身を取ったお陰で、頭は打たなかった。授業で一回だけやった柔道の成果だろうか、腰もさほど痛みを感じない。
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